金融庁から行政処分を受け経営再建中だった日本振興銀行が、9月10日大幅な債務超過により経営破綻しました。これにより、日本初のペイオフが発動されるなど、預金者などに大きな混乱を与えています。また、投資会社のネオラインキャピタルは振興銀の貸出債権のうち同社が保証を行っている百数十億円について、返済先を同社に切り替えるよう呼びかける事態も起きており、対象となる融資先中小企業にも混乱を引き起こしています。ネオラインキャピタルは「振興銀が破綻すれば債権を譲り受ける契約を結んでいる」と主張しています。
振興銀は5月に発表した10年3月期決算で純資産を274億円計上していましたが、金融庁から行政処分を受けて資産を洗い直した結果、6月末時点で1870億円の債務超過だったと9月10日に発表しました。振興銀が扱う預金は定期預金だけで、残高は計約6千億円あり、ペイオフで保護されない元本1千万円超の預金者は9月7日時点で全体の3%にあたる約3500人、計460億円強となっていました。このうち1千万円を超える部分だけを合計すると、100億円超にのぼるとのことでした。振興銀を管理する預金保険機構は、9月22日の営業終了時点での預金の解約申込件数が1万2884件、総解約額が453億円だったと発表しています。
振興銀の破綻を受け、預金者などの債権者、融資を受けている中小企業などの債務者ともに対応に追われるところですが、その際、注意する点がいくつかあります。
現在、預金者から預金解約が殺到していますが、振興銀が取り扱うのはすべて定期預金のため、中途解約すると利息が百分の一に減る場合があります。預金保険機構や金融庁も「損になるケースが大半」として、預金者に冷静な対応を求めています。預金払い戻しの原資として預金保険機構が、振興銀に最大5814億円を貸し付けるので、必要な資金は十分、確保されています。急いで解約をする前にまずは店頭や電話で相談をしてください。
また、破綻した銀行からの借り入れは返す必要があるのか?という疑問を一部で耳にしますが、当然ながら、返済義務は継続します。潰れた銀行であっても融資金は、この銀行の「資産」であり、その「資産」により債権者に配当しますので、返済免除はありません。返済しないと当初の契約どおり抵当権の実行、連帯保証人はその義務履行が必要となります。
では、その返済はどこにすればいいのか?
ネオラインキャピタルが、同社が保証している振興銀の融資先企業に対し、返済先をネオラインキャピタルに切り替えるよう呼びかけていますが、現在のところ、その必要はまったくありません。振興銀は9月15日、ネオラインが同行の貸出債権の一部を取得する手続きを始めたことについて東京地裁に中止命令を申し立て、手続き中止の決定を受けたと発表。ネオラインの保証付きで融資を受けた顧客も従来通り同行に返済するよう呼びかけています。民事再生法は、破綻企業からの資産流出によって手続きが混乱することを避けるため、裁判所は破綻企業の資産への担保権の実行手続きを一定期間中止することができると定めています。東京地裁は、ネオラインに「10月15日まで債務者に債権譲渡を通知し、承諾を得てはならない」と命令しています。
いずれにしても破綻処理の行方を冷静に見守り、対処については振興銀の窓口や電話でご相談ください。







